グレッグ・イーガン『ひとりっ子』

グレッグ・イーガンの短編集『ひとりっ子』を読んだ。ニューロンを制御するナノマシンインプラント、世界の不備を突く新数学、合成される人格、そしてあらゆる可能性を秘めた平行宇宙。数々の最新SFネタに驚かされた。中でも平行宇宙を扱った「オラクル」「ひとりっ子」にはおおいに興味を惹かれた。
もしこの世界から枝分かれした別の宇宙にぼくが行わなかったあらゆる選択を行使した別の”僕”たちがいたら。この僕はそのあらゆる可能性からなるゼロサムゲームの負の部分を一身に背負ったもっとも不幸なバージョンの”僕”だ。
ちくしょう、ふざけるな。僕がクリスマスに独りでケーキを2個食べてる時に、別の宇宙では可愛い彼女とイチャイチャしてる”僕”がいたかもしれないんだ。そんなのってアリかよ。いつまでこの世界のバージョンの僕は他の世界のバージョンの”僕”の割りを食っていかなけりゃならないんだ。この世界が誕生した時にコーディングされた僕の運命はいつまでこの不幸なデコードを繰り返すんだ。
もうウンザリだよ!!!ゲーテルの定理が証明するように、量子崩壊の裏面たる計算不能な非線形世界は仏陀界の顕在的表現なんだよ!!